私は、そう思いながらも、彼に倣いました。
そおーっと手を出す。動いている影の輪郭を抜け、突っ込む……。

ひんやりとしています。冷蔵庫に手を入れた時のようです。
それでもヤツは動こうとしません。

そおーっと手をひっこめる。
冷たさは消えます。ヤツは動きません。

「ねっ、冷たいだろ?」

と茅野君が同意を求めてきました。

「隙間風なんか通ってないよね…やっぱり居るんだね」

彼は、いつになく真顔です。

私は、乗っているヤツが、いまだ退こうとしないので、除霊九字を切りました。
そしてそれが効いたのか、ヤツの気配は消えました。いや、一時的に退いただけですが……。
切った後、馬場君を揺すると、彼はすぐに目を覚ましました。
起きるなり、彼は、

「ああーーっ、疲れた。おれ、うなされてなかった? 揺すったでしょ。分ったんだけど、夢が覚めないんだ。これで4回目かな。同じ夢見たのは…。2階じゃ見たことなくって、いつもここで寝た時にだけ見るんだ。おれ、何か寝言を言ってた?」
と、目をこすりながら、一気に話しました。