二人は「はやくあげろ!」と叫んでいました。

わけもわからず、船上で数人が二人のロープを引き上げました。
最中に、船に少し大きめの衝撃に続き、地震のような揺れがありました。

それはダイバーを引き上げた後も数秒続き、最後にまた大きな衝撃とともにおさまりました。
船上のいる者は一斉に海中を覗き込みます。
みな声を失いました。

船長以下が水面に見たものは、巨大なイカの本体部分と、それをくわえた有り得ない大きさの鮫の魚影でした。
水深は約3mほどを、目算で畳六畳ほどのイカと、体長20mほどの鮫の魚影。

シルエットでしか目視していないが、間違いなくホホジロザメに似た形。
それはそのまま海底へと消えていったそうです。

おれはこの話を聞いたとき、マッコウクジラかジンベイを見間違ったのではと疑いましたが、
同乗していたベテランも当のダイバーも、間違いなくホホジロザメだと譲らないし、
ジンベイがそんな大きいものは食さないとのこと。

結局スクリューは、シャフトを曲げられ作動不能になった。
おそらく鮫らしきものが、絡まったイカを無理やり引きちぎったのが原因らしい。

すったもんだして、救難信号で通りかかった日本行きのオーストラリアの商船に牽引してもらい、
数日後には日本に帰国したそうです。
スクリューに絡まったイカの足は、ほとんど消えていたそうです。

さて、彼らの見たものはいったいなんだったのでしょう?
いったい船長はどう報告して、航海日誌にはなにを書いたのか、興味が湧きます。