暗い人達は、彼らにちょっかい出されても、身じろぎせず俯いていたが、教会の前を通過する時だけ、弾かれた様に身を起し、一斉に十字を切ってた。

妙な雰囲気の中、しばらくは我慢して大人しく乗っていたものの、段々気味悪くなってきて、俺は予定外の所で降車ブザーを押してしまった。

だが、運転手に「まだだ!」と一喝されて、停留所を通過されてしまい、英語わからん俺の代わりにAが抗議してくれたが、取り合ってくれないようだった。

Aが怒鳴ってても他の乗客の様子は全く変わらなくて、俺は、ただ不気味に明るい人たちの顔を見るのが怖くて縮まってた。
で、しばらく口論が続き、イラついたAがふいに煙草に火をつけたんだ。

普段吸うところ見たことないのに、珍しいなと思っていたら、
それまで俺達のことなんて無視してた明るい人たち全員が、突然顔をこっちに向けた。

そして同時に表情を一変させ、真っ赤になって怒り出し、
英語じゃない、聞いたことのない言語で喚きながら、俺達に詰め寄って来た。