翌朝、テントから出ようとした彼は焦った。
入り口のファスナーを開くと、黒土が中に流れ込んできたからだ。
外に這い出してから、言葉を失った。
固い地面の上に設営した筈のテントが、二十センチばかりも大地の中に潜り込んでいる。
テントの周りの土だけが、まるで耕されたばかりであるかのように柔らかくなっていた。
「あのまま答え続けてたら、そのまま地の底に引き摺り込まれていたかもな。
流石に怖かったよ。
一人だったしね。
それからどうしたかって?
予定通り縦走してから下山したよ。
それ以上他に変なことは起こらなかったし」
本当に怖かったのかよ!?
思わずそう問い質した私だった。