私の体験した話。

山中にある斎場から、仕事で呼ばれた。

「男子トイレの自動洗浄が誤作動するから、調子を見てくれないか」とのこと。

小便器の上にセンサーがあって、前に人が立つと水が流れる仕組みだ。
調べてみたがどこにもおかしい箇所はない。

どうしたものかと考えあぐねていると、急に寒気を感じた。
次の瞬間、水の流れる音。
四つある内の一番奥の小便器、そこにだけ水が流れていた。

トイレ内にいるのは私と斎場事務員の二人だけ、当然その便器の前には誰もいない。

「葬儀の立て込んでる日は、特に誤作動が多いんだよね」
困ったような顔で事務員さんが言う。

取りあえずセンサーの感知性能を低目に設定して、様子を見てもらうことにした。

効果があったのか、無人で水が流れることはあまり起こらなくなったという。

一体何がセンサーを反応させていたのかはわからない。
私も特に追及する気は起こさなかった。