知り合いの話。

彼の祖父はかつて猟師をしていたという。
遊びに行った折に、色々と興味深い話を聞かせてくれた。

「ちっと遠い山なんだけど、下りてる途中で場違いな物に出会すことがあった。
 いや普通の畑なんだけどな。良く耕されて、しっかり手入れされてる風の。
 でもな、登ってる時にゃそこにそんな畑、影も形も無かった筈なんだわ」

「あまり見んようにしとったから、何が植わっとったのかは知らねえ。
 その畑に手ェ出しちまうと、山から下りられなくなるって言われとったんでな。
 畑守りに獲られちまうとかって、そんな噂を聞いたわい」

「迷い畑って呼ばれとったな。
 付近の鉄砲撃ちにゃそれなりに知られとったと思う。
 儂は、誰かがヤバいモンでもこっそり育てとるんじゃないかと考えとったがな。
 まぁ余所の山の事にゃ口を挟まんこった」