友人の話。

山中の沼へバス釣りに出かけた時のこと。
竿を振ってしばらくするとアタリがあった。

釣り上がってきたのは、何かの小動物のものと思われる頭骨だった。
肉は綺麗に失くなっていて、いやに色が白かった。

骨を外し遠くへ投げ捨て、再度竿を振る。
しかし次ぎもまた、吊り上げたのは先程と同じような骨だった。

そんなことを数度繰り返し、妙な考えが浮かんできた。
「よく見てなかったから区別付いてなかったけど…
 まさかこれ、ずっと同じ骨が釣れてるんじゃないだろうな」
その次もやはり骨だった。
今度は土手に穴を掘り、骨をその中に埋めたのだという。
手向けの心算で、近くの野花を少し捧げた。

その後は普通にバスが釣れ、骨の類が釣れることはなかったそうだ。

「一度骨釣りしちゃうと、懐かれるっていうか頼られるのかもな。
 今はそんな物を釣り上げたら、きちんと埋めるようにしているよ」

彼はそう言うと軽く笑った。