知り合いの話。

山奥の炭焼き小屋で、一人炭を作っていた時のこと。

夜中に火の番をしながら酒を飲んでいると「うふふふ」と小さな笑い声が聞こえた。
しかし、自分の他に誰もいる筈もない。
不気味に思いながら、酒徳利に口を付ける。

と、何か柔らかい物がにゅるりと口内に差し込まれた。
濡れた舌のような、嫌らしい感触。

驚いて徳利を投げ飛ばすと、それはコロコロと下生えの間を転がって見えなくなった。

明るくなってから探してみたが、もうどこにも徳利は見つからなかったという。