どうも、症状が出ると一時的に戦争中の行動が出るようだった。
以前の祖父の穏やかさを知る人間には、少なからずショックだったが、
それでも徘徊や暴力とまでは行かなかったのが救いだった。
ただ、
嫁ぎ先の近い私が、息子と一緒に夕食を実家で共にした時だった。
メニューはすき焼き。祖父はいつも、肉料理は見向きもしなかった。
だからといって、家族が食べる分には気にした事も無い。
一緒に食事はとるが、手はつけない、「ハズ」だった。
「貴様ら供養はしたのかッ!!」
突然の烈しい声に、食卓の時間は一瞬止まったように感じた。
声の主、祖父を皆が見守る中、祖父はひとり、聞き取れぬ声でブツブツとつぶやき、
鍋から一切れの肉を拾い、口に入れた。
そして、一転して力ない声で、
「これはどこの肉だ・・・?」
と、母に尋ねた。ややあって、母が近所の肉屋の名を言うと、
「そんなことを聞いとるんじゃないッ!」
と、また激昂して言った。