娘(姑)は ハルさんが お祖母さんの形見の帯留めを持ち出したことを激怒したが
暴力夫から逃げるための資金だったことも理解していた。それから数週間後。

ある日。アキさんは女中部屋で繕い物をしていた。そこに姑がきてアキさんに
話かけようとした時 コトッ。女中部屋の奥から音がした。2人で奥の間を見ると
ハルさんがそこに座っていた。ギョッとして言葉が出ない2人。

ハルさんは深々と頭を下げて  申し訳ありませんでした と言って消えた。
ハルさんのいた場所がぐっしょり濡れていた。そこに エメラルドの帯留めが
残されていた。後日 ハルさんは海に身を投げていたことがわかった。

それから後も 奥の間が濡れていることがあった。その後 女中部屋の奥は
封印された。エメラルドの帯留めは 他の宝石といっしょに金庫に保管された。

にもかかわらず また消えてしまった。
エメラルドの帯留めは その後見つかっていない。姑は 開かずの間に
おばあさんがしまい込んだのだと理解したそうだ。

「大奥様や奥様達の気持ちを どうかわかってあげて下さい」とアキさんは言った。