もう色々と想像する前に、とにかく必死でツマミを回し開錠して外に出た。

すぐに携帯TELの灯りを頼りに勝手口の鍵を鍵穴に差し込み、ドアをグッと引き上げながら回転させて施錠した。
エンジンをかけたままの車に飛び乗り、一目散に出発した。

バックミラーやサイドミラーは絶対に見ないようにして走り、一番近いコンビニの駐車場に入って一度車を降り、店内で落ち着いてから帰宅した。
そんなことがあった。

それ以来、私はR社に夜一人で残るようなことは絶対にしない。

"おじさん"の話を聞いた時にR社の社員の一人にはじめてこの話をしてみた。
その人は、ちょっと困ったような表情で私のことを見ていたが
「 … 今年は、いろいろありましたね」

とつぶやくに留まった。
それ以来、R社に伺っても、"おじさん"の話はしていない。