知り合いの話。

遠い親戚から、立派な斧を貰った。

山で仕事することの多い彼は喜んで、早速木を切り出しに出かけた。
黒光りする刃は切れ味が抜群で、これは良い物を貰ったと嬉しがる。
次の日に切る予定の潅木に薄傷を付け、その日は引き上げた。
翌朝、斧を引っ張り出してみると、木屑がやたらと付着していた。
おかしいな、綺麗に手入れした筈なのに。
首を傾げながらも、斧を携えて山に登る。

伐採場に着くと、昨日傷を付けた木が皆、切り倒されていた。
てんでバラバラの向きに倒れた幹は、どれも散々に切りつけられた傷で一杯だった。

彼はそれ以来その斧を仕舞い込んで、使っていないのだという。