「『鉄砲の手入れさね』取りあえずそう返したところ、
 『鉄砲と言うのか。何する物かねそれは?』とこう尋ねてきたモンだから、
 『こっからよ、鉄と火を噴いてシシ(猪)を倒すのサ』って答えた。
 ま、半分脅しも兼ねてな」

「『鉄と火か。それは嫌だな。うん、実に嫌だ』蛙はそう答えやがった。

 まぁ何とかに小便って言うくらいで、蛙の面なんかとても表情読めねえからな。
 本当に嫌がってるのかどうかはわからんかったが。

 『怖いな。うん、実に怖い。退散するとしよう』
 その言葉を最後に、繁みにノソッと戻っていったよ」

それでどうなりました? と先を促すと、

「どうもこうも、それでこの話はお終いだよ。
 ま、敢えて言やぁ、“なるほどここはビッキ沢って呼ばれる訳だ…”って
 納得したぐらいだな」

聞いて呆れた私だった。