男性は穴から出ると骨を丁寧に拭い、用意していた水で洗い始めた。

綺麗になったところで、もう一度高く掲げ、頭を垂れる。
その場にいた皆が頭を下げたので、彼もそれに合わせて一礼した。

男は再び穴に戻り、頭蓋骨を底に収めた。
男が穴から出ると今度は皆が土を掛け始め、空き地は間もなく最初の状態に戻された
のだという。

葬儀はそこで終わったようで、その後は邑に戻り、宴会が始まったそうだ。

「後で詳しい人に聞いた話ですが、あれは二度葬っていう習慣なんだそうです。
 一度土葬してから数年時間をおいて、もう一度掘り起こして骨を綺麗にしてから
 埋葬し直す…そんな葬儀なのだとか。

 あの邑の一般人は普通の土葬でしたが、神様だけが二度葬にされているみたいで。
 恐らく、神とされた骸自体が御神体のような感じなのかもしれませんね。
 私が目にしたのは、神様の丁度二回目の埋葬だったのでしょう」

「ただ何と言いますか。
 ちょっと気になるのが、あの邑の神様についてなんですが。
 聞いたところ、あそこって客人神信仰があるみたいなんですよ。
 日本でいうエビス信仰みたいな、共同体の外から来た物を神様に据えるっていう
 ヤツですね。

 で、二度目の葬儀が終わるとしばらくして、新しい神様と入れ替わるんだとか。
 そうやって二度葬の周期で、神様がグルグルと代替わりしている訳です」