同僚にこの話をしていたところ、一番古参の者が驚いた顔をした。

「お前“御屋敷”を見つけたのか?
 食事が用意されていたんだな?…手付かずで?
  良かったなぁ。
 タイミングがずれてたら、膳の上に並べられていたのはお前だったぞ」

詳しく聞いてみると、こんなことを教えてくれた。

「あの山奥に住んでる主一族の家らしくてな。
 ただ単に“御屋敷”とだけ呼ばれてるよ。
 皿の上に料理があれば無事に出られるが、何もなかったら大事だ。
 一旦は無事に帰れるそうだが、その夜のうちに消えて居なくなるんだと。
 主にさらわれて料理されてしまうって話だ」

「まぁ、俺も爺さんに聞かされた話しだし、爺さんもそのまた爺さんに
 聞かされたって言ってたからな。
 この辺りに伝わる昔話みたいなもんだと思ってた。
  …本当に出くわす奴がいるとはなぁ 」

後日、別の同僚がそこの現場に行ってみた。

知り合いが見つけた屋敷など、どこにも見つからなかったという。