知り合いの話。
彼の住んでいる町の山には、一寸不思議な祠があるのだという。
小さな川を遡った淵、その傍らにある小さな祠だ。
渇水の折などにそこを訪れ、祈りを捧げるのだという。
「そうするとな、その帰り道、目の前に胡瓜が降ってくるんだって。
いや比喩でも何でもない、まんま野菜の胡瓜が、天からドサドサッて。
太くて瑞々しくて、咽の渇きを癒すには抜群らしい。
元々そこの祠は、人じゃなくて河伯が建てたとかいう逸話も伝わってる。
今は水涸れなんてこともなくなったから、胡瓜なんか願う人もいないけどね」
その祠、いつ訪れてみても綺麗に手入れがされているのだそうだ。