チラチラと盗み見る内、剥き出しになった膝に目が吸い付いた。
ゴツゴツした皿の形、強そうな臑毛の剃り跡。
「 …こいつ、男じゃん… 」
もう我慢が出来ず、コーヒーを必死で飲み下した。
出来るだけさり気なく立ち上がり、自販機のゴミ箱まで空き缶を棄てにいく。
そのまま振り返ることなく、足を次第に速めながら公園の出口に向かった。
追ってくる様子はない。公園から出るや否や、全力疾走で走り出す。
最後に一瞬だけベンチの方を見たが、そいつはまだポツンと腰掛けていた。
後日、地元の高校生の間で、城跡公園に出る袋女が噂になっていると知った。
都市伝説のような調子で語られており、誰もその正体は知らないのだという。
「少なくとも、何かが袋を被って徘徊しているのは事実だ」
彼はそうボヤいていた。
彼は今でも深夜のランニングは欠かしていない。
しかし、あの公園に一人で寄ることは絶対にしないそうだ。
その甲斐あってかあれ以来、袋女には出会っていないという。