その夜、彼の祖父が語って聞かせたところによると

「犬の顔をした山伏?
 そりゃ天狗だよ。
 ただ、天狗は天狗でも犬天狗っていう輩だって話だ。
 天狗としての位は低いとか、本職の山伏に聞いたことあるな。
 犬から徳を積んで行くと、よく知られた長鼻の大天狗に精進するんだとさ」

ということだ。

「天狗の仕事っていうのも、色々と大変らしいぜ」

仕事の愚痴をこぼしていた私に、彼はこの話をしてくれた。

彼なりに励ましてくれていたのだろうか、今ではそう思う。