友人の話。

彼は幼い頃、山の中腹にある神社を縄張りとしていた。
近所の子とよくそこに行っては、様々な遊びをしたという。

ある時、長い石段を使って陣取りをしていると、上の方からザッザッと下りてくる音がした。
複数名いるようだ。

「誰も上にはいなかったけどな」と怪訝に思い、振り返ってみた。

仰々しい山伏の格好をした者が五名、しっかとした足取りで進んでくる。
挨拶しようとした次の瞬間、硬直してしまった。

五人が五人とも、その首から上が犬のそれであったからだ。
白い毛並の者、斑のある者、赤毛で片耳がない者など、各人風体はバラバラだった。

立ち竦む彼らを気にも留めず、五名の犬面山伏は悠然と下っていき見えなくなった。
どうやら他の友人らも動けずにいたらしい。

山伏が見えなくなると「今の見た?」「一体何だアレ?」口々にそう叫んだという。