と…そのうちの一体がもぞりと動いたかと思うと
おもむろに声を上げはじめました
「おまえ~・・・・おまえ~・・・・」
誰かに呼びかけるように体を起こしたかと思うと
高い枝から無造作に身を投げ、どさりと地面まで落ちてきました。
体は地に伏せているにもかかわらず、頭が180度反転していて
空を向いたその顔は、山に篭って炭を焼いていた男のものでした。
やがて、そいつは腕や足をてんでバラバラに動かしながら
存外な速さで村人達の方へ這い寄ってきました。
「おまえ~…おまえ~…オマエーオマエー」
恐怖に駆られ、我先にと山を駆け下りた男達の後ろから
「オマエーオマエーオマエーオマエー」
と機械のように繰り返す声が追いかけてきました。
後に、鉄砲を持った男達が小屋のところまで登ってきた頃には
地面を這っていた男や木の上の亡骸は姿を消しており
夫婦の行方もふっつりと絶えました。