取りあえず、姉を場末のホテルへ送り届けた。

ごく普通のビジネスホテルだが、先程まで滞在したマンションに比べれば、まるで
極楽のようにくつろげた。
何より空気が軽い。部屋も明るく感じられた。

しばし話をする。
姉はもうすっかり、あのマンションを引き払う決意をしたようだ。
相談の相手になりながら、心底ホットする。

どうやら、もう二度と彼処には行かなくても良さそうだ。

引っ越しの段取りや、彼女の実家へ連絡をしたりしていると、急に寒気がした。
…いつの間にか、周りの空気が冷たく冷えている。

「幽霊の出る直前には気温が下がるって、そう言えば誰かに聞いたなぁ… 」
そんな碌でもないことを思い出していると、突然、部屋の隅で音がした。

 バタンッ!

二人ともびっくりして飛び上がる。
必死で抱き付いてきた姉を背中に庇いながら、音のした方へ目を向けた。

冷蔵庫の扉が引き開けられていた。

つづく