その夜から、毎日のようにそれが枕元を通り抜けるようになった。
決まっているかのように、現れるのはいつも深夜一時過ぎ。
日に一度だけ枕元を通り過ぎる。
それが出るようになって五日目、渋る姉を何とか説得して、一緒に目撃してもらう
ことにした。息を殺して時間を待つ。
時間通り、その日もそれは現れた。
壁に溶けて消えた時点で、姉に「見たでしょ!アレ一体何だろ?」と話を向ける。
しかし姉は奇妙な顔をしてこう答えた。
「音は確かに聞こえたけど、私には何も見えなかったよー?」
「どういうことなんだろねー?」
これまでは同じモノが見えていた筈なのに。
二人で首を傾げたそうだ。
この話を聞かされて、私は嫌な感じを覚えた。
マンションに出る何かが、ターゲットを友人一人に絞ったかのような、そんな気が
して仕方なかった。
口に出しては言わなかったが。