知り合いの話。

彼はかつて漢方薬の買い付けの為、中国の奥地に入り込んでいたことがあるという。
その時に何度か不思議なことを見聞きしたらしい。

逗留した山村で人死にが出た。まだ若い男性だった。
その時に付いてくれたガイドの知り合いだというので、彼も葬儀に参列した。
僅かばかりの参列者の前で、遺体は荼毘に付された。

「何とも言えない、変な気分になりましたですよ。
 遺体がですね、赤色じゃなくて、緑色や青色の炎を上げて燃えるんです。
 脂の焼ける臭いに混じって、酷く鼻を刺す刺激臭も出ていましたっけ。
 …ひょっとしたら、重金属か何かの汚染じゃなかったかと」
宿に帰ってガイドにそれとなく言うと、ガイドは変な顔をした。
笑っていないのに無理矢理笑っているかのような、どこか怖い顔。
しばらく経ってから、言葉を押し出す。

『知ってるか。
 ここはね、外の人間からは○○って呼ばれてる。
 誰も正しい村の名前なんかで呼んじゃいない』

つづく