友人の話。

神社の境内を掃除していると、上空の高みから声がした。

 アーーーーッ!?

誰かが酷く驚いている様子。

こちらも驚いて見上げたが、曇天の中何も変わった物は見えない。

その時、サーッと濡れた飛沫が境内一面に降りかかった。
一瞬、酒精の香りが鼻を湿らし、すぐに薄れて消えてしまう。
聞けばその地方では、よく酒の匂いがする霧雨が降るという。
「奥山の天狗さんが酒買って帰る途中、うっかり落としちまったんだろうな」
「それはさぞかし残念だったろうな」
そんな会話を交わすと、二人で笑いあった。