死体が見つかる2週間くらい前、俺らがあの山で仕事し始めた頃のこと。
山の奥に入る林道の入り口にあるゲート(一般の車が入らないようになってる)
の前に車が停まってて、横におっさんがボンヤリ立ってた。
車が通るのに邪魔だったんで、助手席のじいさんが降りておっさんと話をして相
手の車を脇に寄せさせた。
その際、かなり長い間喋ってたんで、戻って来たじいさんに「なに話してたの?」
と尋ねた。
「おっさんがさ『車で入れないか?』って聞くから『ここから奥は仕事する人以
外は通っちゃダメなんだ』と言ったらさ『大事なものを運ばないといけないから、
ここへ車を停めて歩いて行く』って言うんだよ。
『乗せてってやろうか?』って
聞いたんだけど『約束だから一人で行く』ってさ。こんなとこで誰に会うのかね」
ゲートを閉めて鍵をかけたじいさんを乗せて車を発進させた後、何となく気にな
ってバックミラーを覗くと、ゲートの向こうでおっさんがトランクから何かでっ
かい荷物を取り出してるのが見えた。
あんなでかい荷物担いで大丈夫かな~と思
ったけど、そこでカーブを曲がったんで見えなくなった。
あった事はこれで全部。
あのおっさんが何を担いでたのかは分からない。
奥で誰かと待ち合わせをしてたハイカーだったのかもしれない。
ただ「約束だから一人で行く」っていう言葉が、後になって妙に怖かったんだ。
「女子大生 死体遺棄 奈良」
金剛山みたいだね。