探しても探しても見つからなかったので、仕方なく岐路に着いた。
途中、女の子が木陰から覗いていた。追いかけると、やっぱりいなかった。
きっとあの子は神様かなんかだろうと思う。この子を村に返したかったんだろう。
源三はそう言うと、人好きのする笑顔を浮かべた。
曾祖父は泣いた。きっとそれは姉で、泣き声は自分も聞いたのだと言って泣いた。
すると源三は「そう言えば、目元がお前によく似てた」と言い、
「泣くな、最後は笑ってたでな」と曾祖父の頭をくしゃくしゃに撫ぜてくれたのだと言う。
曾祖父はその日から、源三を嫌わなくなった。
源三は不思議と、獲物を持ち帰る日が増えた。
理由を問うと、獲物の気持ちが分かるのだ、と源三は照れ臭そうに言った。
数年もしない内に、源三は村周辺に名の通った猟師になった。
高祖父はそんな源三を、目を細めて嬉しそうに見ていたと言う。
更には、源三はその後、神隠しに遭ったとされる人間を3人も見つけ出した。
毎回、あの少女が教えてくれるのだと、源三は語ったそうだ。
そんな源三、ある雪の降る晩、ふらりと山へ入り、二度と戻ってはこなかった。
捜索に出た曾祖父は、あの岩場で下手糞な子守唄を聞いた。
だが、どれだけ声を張り上げて名を呼べども、源三は答えなかったと言う。