豪太さんは25日、キャンプ4(C4、8000メートル)を出発した午前8時ごろから、息苦しさを感じていた。

前日、C3(7300メートル)から7600メートル地点まで無酸素で登り、「少し無理をしたかな」と思ったが約3時間後、休憩を終えて立ち上がろうとすると足に力が入らず、手の握力がなくなったような感覚に襲われた。

 「おれ、おかしいから、たぶん登れないと思う。下りるよ」。心配するアタック隊の五十嵐和哉さん(48)に伝えたが、ベースキャンプ(BC)の無線の周波数などを尋ねられても、全く思いだせない。

登攀(とうはん)隊長の村口徳行さん(51)は高地脳浮腫を疑い、「とにかく意識のあるうちに、下りられる限り下りろ。絶対C2(6400メートル)までは下りろ」と指示した。

午前11時半、シェルパ2人が前後について約8300メートル地点からの下山が始まった。途中、豪太さんは左隣に知らない男性がいるように感じていた。その男性がしきりに「早く、早く下りろ」「注射しろ、注射。ザックに入っている薬を使え」という。

つづく