彼は今までにないほどの恐怖に襲われた。
体育座りをして目を瞑って祈り始めた、特に宗教には入っていなかったが
子供のころ祖父や祖母が念仏を唱えていたのをかすかに思い出しながら
保温カバーに顔も入れて外を見ないようにしながらひたすら、めちゃくちゃな念仏を唱えた。
彼は一睡もできず半狂乱で念仏をとなえていた、朝が近くなり徐々に明るくなってきたのが分かった。
足音は次第に遠くになってきていた、彼は安堵した。
日が昇ったのがわかった、
周りには何十もの足跡が残っていた、しかも裸足の足跡が、彼は疲労困憊でその足跡を眺めていた
あまりの恐怖に何も考えられなかったが、荷造りを初めて下山を始めた。
精神ともに衰弱しきった彼はこれを最後に登山を止めた。