ともかく、それを見た途端、涙が出てくるのだ。
にじむような気配も何も無く、突然に涙が溢れ出てくる。
初めて行った時から、ずっとそうだ。
地図を開くと、その場所がはっきり分かった。
沢のどこから斜面に入ったのか、目の前の石畳がどこに
敷かれているのか、それがはっきり分かった。
国土地理院発行、縮尺5万分の1の地図で。
同行者が居れば、一様に不思議な顔をする。
俺だけが涙を流すのだから、不思議には違いない。
アレルギーか何かだろうか。
理由が分からず、確かめたくて何度も行った。
道も何も無いのに、一度として迷うことはない。
正確に、石畳の脇へ出る。
その度に涙を流し、俺は帰ってくる。