まず、□□という家は、A街に存在していた。存在していた…というのは、既に□□の家は絶えているからだ。そして例の女性だが、義雄さんの言う特徴を聞く限り□□の当主が囲っていた、○○という妾だ。
妾の○○は、関東だかどこだか、とにかく遠くから来た人らしい。まあ恐らく、遊び好きの□□家当主が、アレコレ頑張って連れて来たんだろう。そして、その妾は大層な美人で、どことなく洗練された言葉遣いや仕草で有名だった。
お年寄りは何度か○○自身と話したことがあるらしい。彼女からは、とても良い香りがした。肌は雪のように白く髪は黒々とし、優しくて綺麗な人だ、と思った。
そして、□□当主から貰ったらしい高級そうな赤い着物がお気に入りだったらしく、よく着ているのを見た。
だが、○○は□□家本妻△△と険悪な仲だった。お互いがいがみ合ってるのは、誰の目から見ても明らかだった。いがみ合う理由は色々だったらしいが、主な理由は□□当主絡みだったらしい。
まあこんな感じで険悪な仲の2人だったのだが、ある日を境に○○が居なくなった。
何の前触れもなく、本当に突然居なくなった。
□□の当主は誰かに聞かれる度に「○○は△△と喧嘩した後、どこかへ逃げた」とか言ってたらしい。だが、あれだけ惚れ込んでいた○○が逃げたというのに、□□当主は一向に探す気配もなく、落ち込んでいるだけ。
それに反して本妻△△は、以前とはガラリと変わって、かなり明るくなった。
つづく