後日、相棒とその登山が話題に出たとき、「滑落したときは何かに突き飛ばされて落ちた」と言っていた。
下山開始直後に速いペースで歩いたり、俺に怒鳴ったりしたのは耳元でなにかがザワザワとつぶやくのがずっと聞こえていて、不安でとっとと早く下山したかったからだと言っていた。
また、真っ暗な沢筋を歩いていたとき、沢の上に光る人の形のものが見えたり、無数の人魂のようなものが見えたといっていた。駐車場に着いたらそれらの現象はぷっつり消えたそうだ。
なぜそれをその時言ってくれなかったんだ、と尋ねたら、
「その時お前にそんな話をしてたら、正気でいられたか?」と言われた。確かに正気でいられなかったと思う。
それと、この登山の計画はもともと相棒が持ち出した話なのに、本人は
「自分から言い出した覚えなんてない」と言っていた。
少なくとも山の名前くらいは知っていたが、興味を持ったことがないとのことだった。
俺は登山計画を持ちかけられて初めてその山のことを知ったし、相棒は俺がその山の話をするもんだから登山計画を立てたんだ、と言っていた。
今、その相棒とは壮絶なケンカ中です