秋、本州でも高山では雪が降り始め、11月から翌年の
6月か7月までは、山小屋さえ閉ざされる。
賑やかな声は聞かれなくなり、寡黙な連中が多くなる。
冬の手前、秋の終わり。
そんな時期の野宿というのはまた格別で、特に朝が良い。
顔の冷たさに目を開け、テント代わりに枝から吊るしたシートを
めくると、周囲が白く光っていた。
積雪というほどでもないが、雪が薄く周囲を覆っている。
空は暗く、月の明りもぼんやりしている。
朝露が草木に降る音さえ聞き取れそうなほどの、静けさ。
時計を見ようとランプに手を伸ばしたが、この暗さと静寂を
破るのは、あまりに野暮な気がした。
明るくなればそれが朝だと、もう一度横になり、身体を丸めた。
遠くからの足音。
石を踏み、ざくざくと一定のテンポで進んでくる。
これから山へ入る連中だろう。
だとすれば、もう朝は近いということになる。
そのまま起きることに決めた。
つづく