亡き祖父から聞いた話。

Aさんは山奥にひっそり住んでいた。

畑を耕し自給自足、お金が必要になると
余った野菜や山草やら薬草やらを里に売りに降りて来た。

同じ様な仲間が何人か居たらしい。
足腰のぴんしゃんした老人で、笑うと豪快だが普段は無口な人だった。

ある時、Aさんが大きな犬を連れて里へ降りて来た。

背中に怪我をしていて弱っていた所を保護したのだと言う。

立派な首輪をつけているので迷い犬だろうと。
賢そうな顔をした、立派な犬だったと言う。

誰かが「熊と戦ったんじゃないか」と言った。
確かに熊でもなければ、こんな大きな犬に傷を負わす事は無いだろう、
そんな話をしているうちに、Aさんは山へ帰ってしまった。

つづく