冷たさに気付くと、腹まで水に漬かっていた。
テントのある岸へと戻ろうとすると、ぐっと押し返される。
いくつかの灯籠に押し返される。
湖の中心に向かう流れでもあるのだろうか。
しかし、水面下の足にそんな流れは感じない。
腹から胸にかけて触れる灯籠が、俺を押し返す。
そして灯籠は、火傷するほど熱い。
熱から逃れようとすれば、湖の中心へ向かうしかない。
岸に向かおうと真っ暗な湖面で焦るうち、背後から
地鳴りのような音が来た。
音が近付き、背に触れ、力となり、俺を岸へと押し流した。
音は俺を追い越し、森に入り、そこで消えた。
湖を振り返ると、くしゃくしゃに潰れた灯籠がいくつか、
湖岸に転がっていた。
俺を押していた灯籠だろうか。
湖面は静まり、相変わらず灯籠の光に満たされていた。
ずぶ濡れでテントへ戻ったところで記憶は途切れている。
朝、湖には何も浮かんでいなかったが、潰れた灯籠は
岸に転がったままだった。