次の音は間違いなくあの人型の泥だと思ったし、その音からはっきりとあの泥が洞窟を這いつくばって唸りながら追ってくる姿が想像できた。もう膝とか暗くて見えないけど血だらけだろうと
思った。
天井付近をコウモリが飛ぶ中ようやく出口が見えてきたが、日が落ちかけていた。そんなに長い時間入っていたつもりはなかった。すぐに洞窟から離れて尾根を走って下りた。
駐車場に着いたときにはもう7時半だったが、人はまだ駐車場にいて
膝の怪我や足の痛みがピークで下山してきたおじさんたちに助けを求め車と俺を市内の病院まで運んでもらった。人がそこにいたことが一番助かった。
膝の怪我は思ったより深く、鋭い刃物で切ったような傷は今でも残っている。
その日に洞窟好きな友達に連絡すると深夜、洞窟クラブの人と一緒にうちに来た。
俺も一人でいたくなかったのでずっと話をしていたが、そのクラブの人と話して少し落ち着いた。
その人いわく、
・洞窟での唸りはおそらくコウモリの羽音が反響して出たものであるということ。
・人型の塊は洞窟ではよくある、というか、人間は条件反射的に似た形を見つけてしまうということ。
・その山で鍾乳洞が見つかれば新発見である。
まあそんな感じらしく、俺はその洞窟のあるであろう場所を地形図で教えた。
後日、そのクラブの人から一緒に探索しないかと誘われたけど、何を聞かされてもさすがにもう一度行く勇気はないし、他の登山客に迷惑をかけてしまってる手前、包帯の取れない状態で行くのもどうかと思い断った。
つづく