増水し、流れの速い川を渡ろうとして、濡れた岩に
足を取られた。

腕、胴、顔をこすりながら、泡立つ川へ落ちてゆく。
痛みより恐怖を感じ、強い諦めも同時に感じた。
ほんの数秒流されれば、滝がある。
そこを落ち、叩きつけられるだろう。
それなら苦しまずに済む。

自分が上を向いているのか、横向きなのか
その姿勢も分からず、軽やかな泡が顔の周りで
弾け続けるのを感じ、目を開けられなかった。

不意に、右足を強く引かれた。
岩の隙間に挟まったのだろうか。
動けなければ、ここで溺死するかもしれない。
滝から落ち、叩きつけられて即死するのは仕方ないと諦めていた。

無性に溺死が嫌だと思ったが、どうにもできないまま、
流れに全身を揺さぶられていた。
息が出来ない。

つづく