気が付けば、どこか林道を歩いていた
着の身着のままの格好で、足元は母親が買ってくれた運動靴
その日はカラッと晴れた夏の日だった筈なのに、そこは白く湿っていた
ずっと自分が砂利を踏む音しかしなかった
いきなり水の音がした
道が無くなって川が流れていた
大きな石がゴロゴロあって、深緑と青が混じったみたいな山の川だった
向こう岸の色は黒かった
そこで初めてどうしよう、と思い 川べりに近づいて下を見てみた
その時見た運動靴は真っ白だった その白さが脳裏に焼きついている
どうにかして渡れないないかと川を見渡したが橋はない
仕方なく浅瀬を歩いて石から石へと飛び移ってみた
もうこれ以上は動けない、という所まできて川の色が変わっていることに気が付いた
向こう岸から川の色が薄くなっていた 自分の両手を広げたくらいの幅で
それは水の下に白い布が揺れているようだった
何と言うか、染物の布を川の中で流しているような雰囲気
それがどんどんこちらに近づいてきて、急に怖くて怖くてたまらなくなって
慌てて来た浅瀬を飛び戻った
途中で転んで水浸しになったり 擦りむけた膝が痛かったけれど
何故か必死にごめんなさいごめんなさいごめんなさいお母さんと謝り続けた
つづく