何年か前に新聞記事になった実話
初めは多分戦後からあまり経ってない頃だと思う
彼は生まれてからずっと家族からいじめられ、まともに食べ物も与えられず
給食で何とか生きのびていたという
中学生のある日、とうとうがまんできなくなり、山に家出してしまう
とぼとぼと山道を歩いていると、後ろからワンワンという犬の鳴き声が
それは家で飼っていたシロだった
とても咬み切れそうもない綱を切って追いかけてきたのだ
なぜ家出したことがわかったのか不思議だったが
それからシロと山を転々とする生活が始まった
食べ物はシロとの共同作業でウサギ、ヘビ、ネズミほか何でも獲って食べた
獲れたものは全部シロと分けあって食べた
ある日シロがいきなり体当たりしてきた
いぶかしりながら「何すんだよ」と言ってると元もといたところに巨石が落ちてきた
シロは危険を察知して助けてくれたのだ
ある時は高熱が出て一歩も動けなくなった
シロは破れたシャツをくわえ、何度も何度も川へ行って濡らしてきては
届けてくれたおかげで、やっと熱が引き助かったこともあった
山で暮らし始めて何年か後のある日の夜、それまで一度も甘えたことが
なかったシロが急にクーンと鳴いて甘えてきた
ピッタリ寄り添って離れようとしない
つづく