徐々に女性との距離も縮まって、あと少しですれ違うところで
女性はピタリと止まりました。
祖父も驚いてとまると、女性は笑顔で祖父に会釈をして
「心配いただいてありがとうございます。私は平気です。
お勤め帰りのところを申し訳ありませんでした。明日の朝には
雪を止ませますので今日は気をつけてお帰りください。」
と言うような事を言い、そのまま歩いていきました。
「おい、あんた!」と祖父が振り返ると女性の姿は無く
いつの間にかふぶきは止み、ちらちらと粉雪が降っていました。
見てはいけない者を見たのだろうか?と思った祖父は
怖くなり、何度もコケながら雪まみれになって家に着きました。
火に当たりながら祖父の母(曾祖母)に帰り道で見たものの事を話すと
曾祖母は「ああ、それは山の神様だね。きっと、どこかに用事で行ってた
んだろうよ。」
と事も無げに言ったそうです。
雪女でも見たんじゃないか、と思っていた祖父は良いものを見たね、と
曾祖母に言われて、なんとも微妙な気分だったそうです。