田舎で聞いた話です。

田舎で祖父から聞いた話です。
私の祖父は昔の国鉄に勤めており、とある駅の駅長をしていました。

時代は戦後間もない頃の冬、最終の汽車を見送り、駅舎の点検や掃除、
信号のチェックなどをして、帰路につきました。
その年は例年よりよく雪が降り、その日も一日中、雪が降っていました。

祖父の勤めていた駅は中国山地にあって、雪の多い場所です。
サクサクと雪を踏みながら急いでいると、ちらちら程度に降っていた雪から
急に風が吹いてきて、雪も粉雪から牡丹雪になり、まるで吹雪のようになり
ました。

風をもろに顔に受けて、顔がいたくなったので襟巻きで顔を半分隠し前傾
姿勢で急いでいると前から人が歩いてくるのが見えました。
ぼんやりとした雪明りの中、良く見ると着物を来た女性でした。

祖父は幻覚でも見たのか、と思ったそうですが、だんだんと近づいてくる
女性を見て幻覚ではないと思い、叫びました。

「おい、あんた。そんな格好でいると凍えてしまうぞ。」
しかし、女性の方は気にするようでなく、そのまま祖父の方へ向かって
歩いてきます。

つづく