背高女が覗き込んでいたという数日後、帰宅すると姉が話しかけてきた。

「あのね、この前の日曜に、でっかい女がうちを覗いてたって聞いたでしょ」
聞いたよねぇ確かに。
「今日すれ違ったよ、外の通路で」
…え?

夕方買い物から帰ってきてホールから玄関の通路を歩いていると、誰かとすれ違った。
反射的に頭を下げてから、あれっと不思議な感覚に襲われた。
何だ今の? 相手のスカート、私の顔の横を過ぎてったぞ。
振り向くと、異常に背の高いセーラー服の後ろ姿が見えた。

いや、背が高いというよりも、縦方向にグイッと引き延ばしたかのような、そんな変な
印象を受けたという。
あまりに高過ぎて、首から上は天井にめり込んでいる。
三つ編みにされたお下げ髪だけが、首の後ろで揺れていた。
それなのに何の抵抗もなく、するすると彼女は足を進めていく。

有り得ない。
凝然と見ていると、すっと角を曲がって見えなくなった。

「どうしよっか?」
どうしようと言われてもねぇ。
晩御飯の間に二人で考えてみたが、結論は出なかった。