これは昭和の40年代の私の体験談です。
その夏は友人数人と連れ立って伊豆の戸田という村に遊びに行くことになっていました。
戸田村は国民宿舎があり、海水浴場もあることから当時からよくにぎわっていました。
伊豆半島の中央部にある修善寺という場所から西伊豆にある戸田村まではバスで移動します。
バスの中では久しぶりにあう友人たちと話を咲かせていました。 しばらくするとバスは戸田峠をすぎて下り坂に入りました。
下り坂に入ってしばらくすると、前方に男が歩いているのが見えました。 その男はバスが近づいてくるのに気づくと手を振りました。
どうも、バスに乗せて欲しいということらしい。
田舎のことなので当然のように止まるバス。そして男が乗り込んできました。
「大きいな・・・」
その男がバスに乗り込むと、バスの天井に頭が着きそうになっており、ずいぶん背丈が大きいことに気づきました。
地元の人間が山に入るときのような服装で、年齢は20歳代に見えました。
バスは再び走り出しました。 ところが、すぐにエンストを起こしてしまいました。
運転手が何度も再始動を欠けてやがて走り出しますが、またすぐにエンストを起こします。
男を乗せた後にエンストが起きるようになったためか、周りからの視線であまり居心地が良くなかったようで、しばらくすると「やっぱり降りるよ」と言って男は降りていきました。
男を追い抜いていった後はエンストも起こさず順調に走り出しました。
私は、「なんか悪いもんでもついてたのかね、あの男」などと言って友人たちと笑っていました。 つづく