山中の溜め池に向かう途中に神社がある。少年たちが、いつものように鯉を釣ろうと、
竿を手にして溜め池に向かっていると、神社の入り口に変なものが見えた。
しり。それは男の尻であった。鳥居の水平に並んだ二本の木の隙間に、男がすっぽりと挟まっている。
上半身は鳥居の内側、下半身は鳥居の外側にあり、常世と現世の間を彷徨っていた。
少年たちが囃し立てながら尻に近づくと、男はバタバタと脚を動かし、助けてくれと懇願した。
男は作務衣のような服を着ていたが、もがくうちに服ははだけ、でっぷりと出た白い腹を揺らし、
ひぃひぃと懸命に喘いでいた。その珍妙な光景を、笑いながら見ていた少年たちであったが、
あまりに悲痛な事態に、ついにその手を差し伸べる事にした。
男は少年たちに両手を伸ばし、思いっきり引っ張ってくれと頼む。
一番大きい子が、言われるままに男の手を引っ張る。しかし、男の体は抜けない。
今度は、みんなで男の手を引っ張ってみる。それでも、男の体は抜けない。
やがては、大人の助けを呼ぼうかという意見も出たが、挟まった男は何故か頭を振り嫌がる。
少年たちが困っている最中、一番小さい子が男の片足をつかみ、えいっと引っ張った。
すると男の体は、いともたやすく滑り抜け、鳥居の外へと落ちた。
つづく