そうした理屈や摂理からすれば、逆の順序で色を
変えるなど、およそあり得ない。

その珍しい配色が、俺に手を伸ばさせた。

葉をつまみ、力を入れた瞬間、その葉が真紅になった。
驚いて指を離したが、その一枚だけが綺麗な紅色だ。

別の一枚を同じようにつまむと、これも紅く染まった。

不意に目の前が暗くなり、聴覚が失われていく。

何だか分からぬまま、危険だけを感じた。

風もないのに、斜面の木々が激しく揺れていた。
紅に包まれ、力が抜けていく。

目覚めたのは、林道脇だ。


あのモミジがどこにあるのか、どうしても思い出せなかった。