林道を外れ、明るい斜面でモミジを眺めていた。

紅葉は始まったばかり。
一枚の葉を、紅と緑が染め分けていた。
境目は、どんな色をしているだろう。
目を凝らし、顔を寄せた。
よく考えてみれば、不思議な形の葉だ。

じわり、と違和感を感じた。

葉の形にではない。
背筋を伸ばし、ほんの数秒考えた。
葉の色だ。

目の前でかすかに揺れる葉は、付け根に近い部分が紅く、
葉先が緑色だ。
紅葉というのは普通、葉先から色を変えるはずだ。

紅葉の仕組みを、凍傷に例えて説明した登山家が居た。
生命を守るための反応としての凍傷。
紅葉には、確かにそれと似たところがある。

そうした理屈や摂理からすれば、逆の順序で色を
変えるなど、およそあり得ない。 つづく