正夫が山小屋の中へ入ったときは、既に午後8時を過ぎていました。
急に安堵感、疲労感、空腹感が正夫を襲い、正夫は床に大の字になって
寝転がりました。そして、先程遭遇したバケモノの事を考えていました。
「やっぱり、あれは山の神さんだったんじゃろか」
そう思うと体の震えが止まらなくなり、正夫は気付けに山小屋に保存して
ある焼酎を飲み始めました

保存食用のイノシシの燻製もありましたが、
あまり喉を通りませんでした。タケルに分けてやると、喜んで食いつき
ます。「今日は眠れねぇな」。そう思った正夫は、猟銃を脇に置き、
寝ずの番をする事を決心しました。
「ガリガリ ガリガリ」
何かを引っ掻くような音で、正夫は目が覚めました。

疲労感や酒も入って
いたので、いつの間にか寝てしまっていた様です。時計を見ると、午前1
時過ぎでした。
「ガリガリ ガリガリ」
その音は、山小屋の屋根から聞こえてきます。タケルも目が覚めた様で、
低く唸り声をあげています。正夫も無意識の内に猟銃を手にとっていま
した。

「まさか、あいつが来たんじゃなかろうか・・・」そう思った正夫
ですが、山小屋の外に出て確かめる勇気も無く、猟銃を握りしめて、ただ
山小屋の天井を見つめていました。