少し顔が引きつった。実は二週間ほど前に、すぐ上の部屋で飛び降り自殺をした人がいたからだ。でも、下の方は何もなかった筈なのね。
「あったよ、下の部屋で不幸」
朝方帰宅した姉が、サラッと答えた。へ?
「アンタつい先日、二日ほど空けたでしょ。その時、真下の奥さんが首吊ったのよ。理由は知らないし、知りたくもないけど。警察とか来て大変だったんだから。うちにも色々聞きに来たよ。アンタに教えるの、すっかり忘れちゃってた」
それだわさ。友達が納得した顔で頷く。
「立て続けに不幸が起こったモンで、通り道が出来ちゃったのね。
それも何て言うか、変なモノが通ってる。霊道とはちょっと違うみたい。すぐに何かある訳じゃないだろうけど、越すことを考えてとくのも良いかもよ」
「越したばかりだから、先立つ物がねー」
「ねー」
姉と友達はごく普通な顔でそんな会話を交わしている。
…何でそんなに平然としてるの~?
それが彼女には少し、腹立たしかったという。