「こっちも疲れてるから、それ以上は相手せずにいたのよね。
したら、ブツブツとずっと小声でずーっと何か呟いているじゃない。勘弁してくれって感じだったの」
「二回目に出会った時は、もうさすがに一緒に乗る気はなかったん。
だからそのまま扉が閉まるに任せて、ホールでそのまま待ったの。
しばらくすると箱は上に昇っていったから、どこかの階で停まるのを確認して、もう一度ボタンを押したのね。そしたら」
… そしたら?
「もう一回降りてきた箱が開くと、またしてもその女が乗ってるん。
奥の方向いたまま、ピクリとも動かないで」
う。ちょっとゾクリと来た。
「でしょ? もうとてもエレベーター利用する気になれなかったん。
だから、非常階段で延々と七階まで。それも夜中に」
その後も結局、非常階段を使うことが何度かあったという。
聞けばどうやらお姉さんの方も、件の女性を目撃していたらしい。
この棟って、非常階段使う住民がかなり多いって管理人さんが言ってたけど、おそらくその皆さん、あの女の人に出会っちゃったんだと思う。
というのは姉の弁だ。
「害がある訳じゃないんだけど … あってからじゃ遅いし。何より不気味だしー」
そう言って彼女は頭を抱えていた。