ダム湖の水位が下がり、いくつかの建物が、
その姿を現していると聞かされた。
話の流れで、ダムの底を探検しようという話になった。
無論、いけないことと知った上でのことだ。

あまり、人目に立たぬ方が良い。
前夜から出かけ、干上がったダムを見下ろしながら
朝を待った。
空が明るくなる頃、ダムの底へ足を着いた。
表面は固く乾き、ひび割れの縁がめくれ上がっていた。
どぶ泥特有の悪臭はあったが、思っていたほどではない。

濃い朝もやがダムに沈み、ダムを巡る道路からの視界を
遮っているのも、少々気が引けている俺たちには好都合だ。
道路から外れると、何があるか分からない。
かつてのガードレールを目印にし、スキーのストックで
地面を突きながら、慎重に進んだ。

交番らしい小さな四角い建物。
崩れかかった木造の大きな建物は、学校だろうか。
道路をふさぐように倒れた柱は、よく見ると鳥居だった。
地面には、最近のものらしい足跡が、いくつかあった。

コンクリート製の、小さな建物の引き戸が外れている。
窓は無く、何かの備蓄倉庫だと思われた。