それから数日後、異変が生じた。
母屋の和室に敷かれた畳が、持ち上がり始めたのだ。
何事かと畳をはぐって見ると、そこには何本もの筍が伸び上がっていた。
「どこから伸びてきたんだ? この近くには竹薮なんかないぞ!?」
訝しがりながらも片っ端から切り倒す。
しかし数日もするとまた新しい筍が、畳を突き上げ始めた。
やがて筍は和室の床下以外からも生え始め、とうとう駆除が追いつかない
ほどの速さで繁殖しだした。
抵抗を続けていた彼もついに匙を投げ、家を筍に明け渡したのだという。
家を出る時は、悔しくてならなかったそうだ。
現在、母屋があった場所には竹薮が繁っており、彼は少し離れた場所に
新しい住居を拵えている。
「あのバッグは罠だったんだな。誰が仕掛けたのかはわからんが… 」
そう言う彼の腕には、切り出されたばかりの青竹が抱えられていた。
復讐とばかりに、今でも何本も竹を切り倒しているらしい。
残念ながら、竹薮は勢いを弱める様子など見えないそうだ。